冬場、とてもじゃないが、自宅のお風呂では温まらない。なにより、LPガス(プロパンガス)未契約なので、IHで沸かしたお湯頼み。数日実行して、我慢できず、お風呂屋さんに直行した。
毎回、使うたびに支払うのは不便だったので、回数券を購入した。11枚つづりで、5000円ほど。
知っているか。10回分におまけの1回がつくんだぜ。オトクだろ。
主(あるじ)よ、少し落ち着きなされ。
何気ない日常でもありがたく感じる。それがお湯だ。特にお湯を肌に感じられることが、こんなに幸せだとは思わなかった。実家暮らしでは、わからなかったことだ。今思うよ。お母さん、ありがとう。
利用客は地域住民ばかり。老若男女と言い表すようにさまざまだ。子連れに、親子連れ、お年寄り、若者が集う。外国人はまだみていないが、いるのだろうか。
そんなある日、いつものようにお風呂につかっていると3人組のお客さんが入ってきた。少しいかつい見た目の職人さんぽい風貌だった。
その中の恰幅のいいひとり(多分リーダーだろう)が、仲間に声をかけながら、手際よくからだを洗っていた。
洗い終わると、湯舟に浸かるため、移動した。
その時、私の目に飛び込んできたのは、首から腰にかけて彫られた入れ墨だった。
ドラマの世界でしか見たことがなかった入れ墨。まさか、令和の時代に、入れ墨を拝むことになるとは。いやはや、びっくりした出来事だった。
15時を過ぎると始まるのが、お風呂屋さんの日常風景。私が利用するのは19時以降なのだが、暗闇のなかで浮かび上がる、建物からこぼれた明かりがどこかやわらかく、幻想的な雰囲気が好きだ。
一頃、改装工事で明かりがついていなかったときは、なんだかさみしかった。
いつまでも続いてほしい風景だ。
ただひとつ残念な点を挙げると、シャワーを浴びていると、すきま風があたるときがあるんだ。ちょうど通路の近くなんだけどさ。
それが寒くてね(泣)。
その部分を除けば、文句はないんだよ。本当に。